あなたの体調不良や慢性的な疲労感は、実はDNAレベルで説明できるかもしれません。MTHFR遺伝子に変異を持つ日本人女性は約60%と言われ、この遺伝子が正常に機能しないと葉酸をうまく代謝できず、エネルギー生産や細胞修復に影響を与えます。
「なぜいつも疲れているのか?」「どんな栄養素が自分に必要なのか?」—その答えはあなたの遺伝子タイプにあるかもしれません。遺伝子検査で自分のMTHFR遺伝子タイプを知り、あなただけの最適な健康管理法を見つけましょう。
MTHFR遺伝子とは?葉酸代謝における重要性

MTHFRとは、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(methylenetetrahydrofolate reductase)の略称です。この酵素は葉酸(フォレート)の代謝に深く関わっており、食事から摂取した非活性型葉酸を、体内で利用できる活性型葉酸(5-メチルテトラヒドロ葉酸)に変換する重要な役割を担っています。
日本人の約60〜70%がこのMTHFR遺伝子に何らかの変異(多型)を持っていることが分かっています。遺伝子変異があると、葉酸を活性型に変換する能力が低下し、以下のような健康リスクが高まる可能性があります:
- ホモシステイン値の上昇(心血管疾患リスク)
- 神経管閉鎖障害などの先天性異常リスク
- 妊娠合併症リスクの増加
- 認知機能への悪影響
- うつ病やアルツハイマー病などの神経疾患リスク
主なMTHFR遺伝子多型のタイプ
MTHFR遺伝子の多型には主に以下のタイプがあります:
- CC型(正常型):酵素活性が100%
- CT型(ヘテロ接合体):酵素活性が約60〜70%
- TT型(ホモ接合体):酵素活性が約30%前後
日本人の分布は、CC型が約39%、CT型が約45%、TT型が約15%とされています。TT型の方は特に注意が必要です。
葉酸サプリを選ぶポイントとは?

1. 活性型葉酸(5-MTHF)を選ぶ
MTHFR遺伝子に変異がある場合、最も重要なのはすでに活性化された形の葉酸を摂取することです。
一般的な葉酸サプリメントに含まれる「葉酸」(プテロイルモノグルタミン酸)は、体内でMTHFR酵素によって活性型に変換される必要があります。しかし、変異がある場合、この変換効率が低下しているため、最初から活性型の葉酸を摂取することが効果的です。
推奨される成分表記:
- メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF)
- 5-メチルテトラヒドロ葉酸
- 5-MTHF
- L-メチルフォレート
- (6S)-5-メチルテトラヒドロ葉酸グルコサミン塩
避けるべき成分表記:
- 葉酸(フォリックアシド)
- プテロイルモノグルタミン酸
2. ビタミンB群との組み合わせを確認
葉酸の代謝にはビタミンB群が重要な役割を果たします。特に以下のビタミンが葉酸と協働します:
- ビタミンB12:メチル基転移反応に必須
- ビタミンB6:ホモシステイン代謝に関与
- ビタミンB2(リボフラビン):MTHFR酵素の補酵素として機能
これらのビタミンを含む総合的なサプリメントを選ぶことで、葉酸代謝経路全体をサポートできます。
3. 適切な摂取量を確認
一般的な葉酸の推奨摂取量:
- 一般成人:約240μg/日(厚生労働省推奨)
- 妊娠を計画中・妊娠初期の女性:400〜800μg/日
MTHFR遺伝子変異がある場合は、特にTT型では、やや多めの摂取が推奨される場合もありますが、過剰摂取にも注意が必要です。サプリメントだけでなく食事からの摂取量も考慮しましょう。
4. 製品の品質と信頼性
信頼できるメーカーの製品を選ぶことも重要です。以下の点に注目しましょう:
- GMP認証(製造品質管理)を受けているか
- 第三者機関による品質検査を行っているか
- 添加物が少ないか
- アレルギー物質が含まれていないか
MTHFR遺伝子型別の葉酸サプリ選び方

MTHFR遺伝子のCC型(正常型)の方
酵素活性が正常なため、通常の葉酸でも問題なく代謝できます。しかし、活性型葉酸も安全に摂取可能です。
推奨:
- 通常の葉酸サプリか活性型葉酸サプリ、どちらでも可
- 標準的な摂取量で十分(400μg/日程度)
MTHFR遺伝子のCT型(ヘテロ接合体)の方
酵素活性が約60〜70%のため、葉酸の代謝効率がやや低下しています。
推奨:
- 活性型葉酸(5-MTHF)を含むサプリメント
- ビタミンB群(特にB12、B6)を含む製品
- 400〜600μg/日程度の摂取量
MTHFR遺伝子のTT型(ホモ接合体)の方
酵素活性が約30%と大幅に低下しているため、特に注意が必要です。
推奨:
- 必ず活性型葉酸(5-MTHF)を選ぶ
- ビタミンB群を十分に含む総合サプリメント
- 場合によっては600〜800μg/日程度の摂取量が推奨される場合も
- 医師や専門家との相談を強く推奨
妊活・妊娠中の方のための葉酸サプリ選び

妊活中や妊娠中の方は、神経管閉鎖障害などの先天性異常リスクを低減するために、葉酸摂取が特に重要です。
妊活・妊娠前から摂取を始めるタイミング
胎児の神経管は妊娠4週目頃までに形成されるため、妊娠を計画した時点から葉酸の摂取を始めることが理想的です。少なくとも妊娠の3ヶ月前からの摂取が推奨されています。
妊娠中のMTHFR遺伝子変異と葉酸摂取
MTHFR遺伝子変異がある妊婦さんは、活性型葉酸の摂取が特に重要です。TT型の方は、葉酸代謝能力が著しく低下しているため、妊娠合併症リスクも高まる可能性があります。
MTHFR遺伝子変異がある妊婦さんへの推奨:
- 活性型葉酸(5-MTHF)を優先的に選ぶ
- ビタミンB12、B6などの補助栄養素も確保
- 葉酸の過剰摂取には注意(上限目安:1,000μg/日)
- 産婦人科医との相談のうえで摂取量を決定する
葉酸を多く含む食品と食事からの摂取

サプリメントだけでなく、食事からも葉酸を摂取することが大切です。以下の食品には葉酸が豊富に含まれています:
- 緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガスなど)
- レバー
- 豆類(枝豆、そら豆など)
- 全粒穀物
- 果物(オレンジ、いちごなど)
ただし、食品に含まれる葉酸の生体利用率は約50%程度とされており、特にMTHFR遺伝子変異がある場合は、サプリメントで補完することも検討しましょう。
調理時の注意点: 葉酸は熱に弱いため、長時間の加熱調理で70〜95%が失われる可能性があります。茹で時間を短くするなど、調理方法にも工夫を。
MTHFR遺伝子の検査方法について

自分のMTHFR遺伝子型を知ることで、より適切な葉酸サプリメントを選ぶことができます。
検査の種類
- 医療機関での検査:保険適用外の場合が多く、費用は2〜3万円程度
- 遺伝子検査キット:自宅で採取した検体を郵送するタイプ(1〜2万円程度)
- 総合的な遺伝子検査:様々な遺伝子を一括で調べるサービス(3万円以上)
検査を検討すべき方
- 家族に神経管閉鎖障害の赤ちゃんが生まれた経験がある方
- 複数回の流産経験がある方
- 高ホモシステイン血症と診断された方
- 心血管疾患の家族歴がある方
- 自閉症スペクトラム障害の家族歴がある方
まとめ:MTHFR遺伝子変異に合わせた葉酸サプリの選び方

- 自分の遺伝子型を把握する
- 可能であれば遺伝子検査を検討
- 検査が難しい場合はCT型またはTT型の可能性を考慮(日本人の約60〜70%)
- 適切な形態の葉酸を選ぶ
- CT型・TT型の方は活性型葉酸(5-MTHF)を優先
- CC型の方は通常の葉酸でも問題ない
- サポート栄養素を確認
- ビタミンB12、B6、B2の含有量
- その他の補助成分(DHA、ビタミンDなど)
- 適切な摂取量を守る
- 一般成人:240μg/日
- 妊活・妊娠中:400〜800μg/日
- 遺伝子型によって調整(特にTT型)
- 製品の品質と信頼性を確認
- 第三者機関の品質検査
- 製造品質管理(GMP認証)
- 添加物の少なさ
MTHFR遺伝子変異は決して珍しいものではなく、日本人の多くが持っている可能性があります。自分の遺伝子型に合った葉酸サプリメントを選ぶことで、葉酸の恩恵を最大限に受けることができるでしょう。
特に妊活中や妊娠中の方は、胎児の健康のためにも適切な葉酸摂取が重要です。不安がある場合は、医師や専門家に相談することをお勧めします。
注意:本記事の情報は一般的な知識提供を目的としており、医療アドバイスではありません。サプリメントの摂取前には、医師や専門家にご相談ください。